「そのために僕たちがいるんじゃないか。君の彼の工藤君も心配している。だから気持ちで負けちゃだめだ」
そう言うと、高橋は間にあるしきりをコンコンと叩いた。

 雪乃が顔を上げ、高橋をみつめた。

 それを確認して、高橋は口を開いた。
「僕の言っている意味が分かるかい?安心していいんだよ」

 雪乃はしばらく見つめた後、大きくうなずいた。

「そうですよね、分かりました。私が強くなくっちゃだめですよね」

「そうそう。ロンドン旅行に行くんだろ?」
意地悪っぽく高橋はウインクをしてみせた。

「どうしてその事を?」

「いやぁ、すっかり工藤君とは仲良くなったからねぇ。もう何でも君たちの事は知っているつもりだよ」