「りっちゃん、りっちゃん!」
あれから十日後、あたしは友達のりっちゃんに電話をかけた。
〈あー、わかった。よかったね〉
「ちょっ、あたしまだ何も言ってないよ!?」
りっちゃんが明らかに嫌そうな声で言った。
〈あんたの嬉しそうな声聞いてりゃ、用件聞かなくてもだいたいわかるわよ。
どうせ橋田純のことでしょ〉
「わあ、すごい。その通りだよ、りっちゃん!」
〈ったく…何年あんたと一緒にいると思ってんのよ〉
りっちゃんは、電話の向こうであからさまにため息をついた。
「あのね、あたしの誕生日に開催される純君のイベントなんだけど、チケットが当たったんだ!
ペアチケットだから、りっちゃん一緒に行こう!」
〈やだ、めんどい〉
「え〜!」
即答したりっちゃんを必死で説得すると、りっちゃんはしぶしぶ承諾してくれた。