イベントの内容は、映画の披露試写会。
ラストシーンはやっぱり、ヒロインの女の子とのキスで終わった。
周りは感動で涙を流しているけど、あたしは違う意味で号泣する。
あんな綺麗な女優さんと、あんなロマンチックな雰囲気でキスなんて……。
「うぇーん、りっちゃぁん…」
「わかったから。ハンカチくわえながら泣くのはやめなさい」
そんな風に終わった純君のイベント。
あたしはそのあと、地元に帰ってからカラオケに直行。
もちろんりっちゃんを連れて。
あたしはマイクを保持し、失恋ソングを歌いまくった。
──純君。
あたしね、別にあなたと結ばれたいとかいうんじゃなくて、ただ、あたしみたいに本気で恋してる女の子もいることを知ってほしい。
でもやっぱり、同じ地球にいるのに、手の届かない相手への想いというのは、抱え込むだけつらいことがわかったよ。
でも残念ながら、あたしは…
「諦めませ──ん!!」
「うるさい!」
マイク越しに叫ぶと、りっちゃんに怒られた。