「ミナミん、悠季は?」

店の2階にて。
ここは、藍衣達の住居スペースとなっている。

藍衣は、5000ピースのパズルを黙々と完成させている南に、問い掛けた。

「悠季なら、うめえ棒が切れてたとかで、さっきコンビニ行った」
「もう…久しぶりの依頼やってのに…」

ここの“オーナー”である悠季がいなければ始まらない。
だというのに、肝心の悠季はコンビニ……。

藍衣は頭を抱えた。

「じゃあ、ミナミん。とりあえず下来て」
「待て。あと20ピースで完成するんだ」
「何言うとんの!依頼人、待たせとんやけん!パズルはあとでやろうなー」

ぐずる南をひきずりだし、藍衣は1階へ降り、相談室へと戻った。



「うわあっ!!」

相談室へと入り、目に飛び込んできた光景に藍衣は顔を真っ赤にして絶叫した。

健一が、依頼人に抱きついているところを、しっかりと見てしまったのだ。

「ななな、何しとんねん!健一〜〜〜!!」

麻里乃を健一から引き剥がし、そのまま彼を蹴飛ばした。

「いい加減慣れろよ。本当ウブだよね、藍衣」
「うう、うるさいっ」

眼鏡を押し上げる南も、真っ赤になった藍衣にはり飛ばされた。