「ごめんね、ミカ。気付いてあげられなくてごめんね。あなたもつらかったんだよね。
ミカが苦しんでたのに、私…何も知らなくて」

ミカを強く抱き締める麻里乃。
ミカの瞳から、さらに涙があふれ出た。

「麻里乃っ…!いっぱいひどいことしてごめんなさい!」
「ううん。私もごめんね」

抱き締めあいながら、声をあげて泣きじゃくる二人を、藍衣たちは黙って見守っていた。



「本当にありがとうございました」
「いいってことよ♪」
「あんたが言うなや」

頭を下げる麻里乃とミカに、健一が笑って言うと、しっかり藍衣につっこまれた。

「あの…彼は…」
「あぁ、あたしらに任せときぃ、心配せんといて」

麻里乃が不安そうに、いまだ眠ったままの少年を見つめる。
彼も…ミカに利用された“被害者”なんだと思った。

「ミカさん、あとで彼とちゃんと話してくれ。
あの少年は、ただ君のことが好きだっただけなんだ。君なら彼の気持ちがわかるはずだよ」

悠季が諭すと、ミカは「はい…」と申し訳なさそうに頷く。

「本当に、何から何までお世話になりました!」

もう一度深くお辞儀して、麻里乃はミカと共に店をあとにした。