「かっこよくキメんのとか苦手だからさ、はっきり言うぜ。
川瀬麻里乃さん、そしてこの店に脅迫状を送り付けていたのは君だ、ミカさん」
「このビデオが証拠ね」
健一が、ミカを映したビデオカメラを見せる。
「そして、この少年に川瀬さんを襲わせるよう指示したのも君だ。
この脅迫状が、その証拠」
悠季はミカの目の前に、二枚の脅迫状を突き付けた。
一枚は“人に頼るなど弱虫がすることだ。今すぐ死ね”と書かれた脅迫状。
そしてもう一枚は、“俺たちの正体を知った時、おまえは死ぬ”──。
「この二枚の脅迫状は、内容からして、川瀬さんが俺たちに助けを求めたことを知る人間にしか書けない。
何で、川瀬さんが俺たちに相談したこと、君が知ってんのかな?」
「……!」
顔を真っ赤にして、ミカは黙り込む。図星…なのだろう。
「まあ、こんな紙よりも確かな証拠があるんだけど」
悠季は、破片を片付け終えた藍衣に目で合図した。
「その少年が言っとったで」
藍衣がポケットから取り出したのは、ボイスレコーダー。