「今日は相談室やないん?」
「うん。だって、あの狭い部屋にこんな大人数入んないから」
「あ、そっか」

藍衣の問いに、悠季がコーヒーを飲みながら答える。
手にはもちろん、うめえ棒たこやき味。

「ミナミん、寂しかったよー!」
「俺は全然だったけど」
「ええっ、そんな〜」

嘆く健一を見て、鼻で笑う南。

この場には麻里乃を苦しめていた犯人がいるというのに、緊張感がない彼ら。

だがしびれをきらしたミカが、自分に差し出されたコーヒーをぶちまけた。

ガッシャーンッ!

「!!」

カップが音を立てて砕け散る。

「うざいのよ、あんた達。そんな茶番続けてる暇あったら、さっさと謎解きとか推理とかしたら?」

カップの破片を、藍衣は丁寧に拾い集める。

この女…一発殴ってやりたいけどここから先は悠季の仕事や。
あたしが手を出すわけにはいかんな。

「うん、わかったよ。じゃあ、言われた通り、始めよっかな」

深呼吸を一つして、悠季はゆっくりと優しい口調で語り始めた。