*   *   *


「いやー、いいところに来てくれて嬉しいわケンちゃん!」
「喜んでくれて俺も嬉しいよ、藍衣ちゃーん♪」

にこにこと歩く藍衣と健一。

健一は、藍衣が気絶させたストーカー少年を担いで歩いている。
その隣にいる藍衣は、不機嫌そうなミカの腕をしっかりと掴んでいた。

「くそっ…放せよ!」
「はいはーい、暴れなーいの」
「痛っ…!」

藍衣の手に力がこもり、ミカの腕に痛みが走る。

「相当怒ってるみてえだからな、藍衣の奴。その綺麗にメイクした顔傷つけられたくなかったら、おとなしく連行されてな」

「ちっ…」

健一に睨まれ、ミカは舌打ちを残して口を閉ざした。

「健一も珍しく怒っとるやん」
「えー?そんなことないよー☆」

ひょうひょうとした、いつもの健一に戻ったのだった。



カランカラン…

「悠季ー、たっだいまー!」

元気よく店に帰ると、悠季と南が人数分のコーヒーを作って待ってくれていた。

健一は、いまだ気絶している少年を店の隅に寝かせたあと、椅子にちょこんと座る麻里乃に抱き……つこうとしたが、藍衣に阻まれた。