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「ここかなぁ…？」

とある田舎の商店街を抜け、少し広くなった道路のわきにその建物…というより店はあった。

『LOVE&HAPPINESS』

という看板のすみに、
“あなたのお悩み解決します!(月･水･金･日)”
というキャッチコピーのような言葉が記されている。

「本当にここで合ってるんでしょうか…？」

店を見上げるのは、川瀬麻里乃(ｶﾜｾ ﾏﾘﾉ)、16歳。

耳の下で２つに結わいた短い黒髪がトレードマーク、とでも言っておこう。

「とりあえず…入ってみよう」



建物の中は一見、おしゃれなカフェのような雰囲気で、とても“お悩み相談所”という感じではない。

本格的なコーヒーメーカーを動かしていたのは、藍衣だった。

只今金曜日の朝10時。まったくといっていいほど客は来ていない。

「暇やなぁー。お客さん、来ぇへんなぁー」

そんな風に愚痴をこぼしながら、コーヒーを一口含む藍衣。

声をかけていいものか、と麻里乃は迷った。

まあ、一応私もお客さんに入るしいいよね…？

「あの…すいません」