「あ…もしかしてっ」

写真を取り出して、少年と写真の男を見比べてみる。

写真でははっきりとわからないし、これを撮ったのは夜なので、確実とは言えないが似ていた。

「うん…あの子かもしれん」
「そうか」

それにしても、なんだかさえない感じの少年だ。

背は高いが、手足が細すぎてとても男の体とは言い難い。
肌も白いし、髪もボサボサ。
定期的に外に出ているようには感じられず、初対面で良い印象は得られなかった。

「仕掛けてみるか」
「仕掛ける?」
「ああ」

南の突然の提案に、藍衣は首を傾げて聞き返した。

「普通、誰かを襲おうとした時、人通りが多い場所はダメだろ。
俺にはあいつが、依頼人をいつ襲おうか機会を伺っているように見える。

確かな証拠もないまま、今あいつを捕まえるより、人通りの少ない場所へ依頼人を向かわせて、あいつが彼女を襲おうとした時に捕まえるほうがいいと思う」

確かに、と藍衣は思った。
回りくどいやり方が嫌いな彼女にとって、南の提案した作戦は、実にスカッとするものであって、気に入った。

「わかった。悠季に電話して、許可もらう」
「ああ」