「……何言ってんだ、俺」

自分のボケに自分でつっこんでいるところを見ると、なんだか切ない気分になってきそうだ。

「あーあ。できれば藍衣がいいけど、この際ミナミんでもいいから一緒にいたかったよー」

一人は好きじゃない…。

ここまで寂しがりやになってしまったのには彼なりの事情があるのだが、それはさておき。

健一は、悠季の命令に従い、ここである人物が現れるのを待っていた。

「…ん、あいつか?」

マンションの前に、一人の女子高生が現れた。

「お、結構フツーに可愛いじゃん」

ずっと待っていた人物というのは──麻里乃の親友、ミカ。

悠季は、
「マンションの郵便受けのところに挙動不審の少女がいたらそいつがミカだ」
と言っていた。

彼の言っていた通り、郵便受けの前で封筒を手にキョロキョロする姿は、明らかに挙動不審と言っていいだろう。

彼女が……ミカだ。

「あーらら。やっぱ脅迫状送り付けてたのは、あの子だったのねー…」

健一はため息まじりに言うと、ビデオカメラを取り出した。

「さてと、ケンちゃんの証拠VTRといこうかな!」

カメラを回しはじめると、健一はミカを映したまま、彼女のもとへ駆け付けた。