誰もいなくなった部屋で、悠季は今一度、事件の流れを整理していた。

今までの調査結果、集めた情報、そして自分の直感と推理。

すべてを掛け合わせて考えると、2人の犯人のうち主犯はミカという女だと考えられる。

自分の推理や直感は、一度もはずれたことがない。

自信がある。だからつらい。

依頼人を悲しませることになるのが目に見えているから。

誰もが抱える悩みを、少しでも楽にしてあげたいと始めた、らぶはぴの相談室。
だけど、そこに依頼したために悲しい思いをする人がいては、らぶはぴを作った意味がないように思う。

今までの依頼が、すべて良いように丸く終わっていた。

だからこそ、今回のように、依頼人が傷つくような結果になることがつらく、そして悔やしくてたまらなかった。

「藍衣……俺、間違ってないよな……?」

返事はないとわかってはいたが、誰かに問い掛けずにはいられなかった。


  *   *   *


「ミナミん」

麻里乃を尾行中の藍衣と南。
先程、麻里乃が薬局に入ったところで、藍衣は南に問い掛けた。

「川瀬さん…大丈夫かな?」
「何が?」
「いや…何がって…」

何て言ったらいいかわからず、一瞬言葉に詰まる。