麻里乃の協力を得ることになり、藍衣たちはいよいよ彼女のストーカー事件の真相、そして事件の終わりへと近づいた。
しかし…藍衣はつらくて仕方がなかった。
麻里乃が帰ってから、ずっと暗い顔をしている藍衣に、悠季はうめえ棒を差し出した。
「……いらん」
「…あっそ」
「何でこの雰囲気の時にうめえ棒なんよ!?」という彼女のいつものつっこみを期待していたのだが、藍衣は相当沈んでいるようで、何も言わなかった。
「“信じる”……か」
麻里乃のあの強い目が、頭に焼き付いていて離れない。
何であんな風に、まっすぐ誰かを信じられるのか、藍衣にはまったくわからない。
「藍衣…さっきから上の空だね」
「友達に裏切られていてもなお、信じ続ける依頼人を、過去の自分と重ねて見てるんだ」
ずっと手に付けていなかった5000ピースのパズルを完成させていく南の隣で、藍衣の姿を見てぼやく健一。
「暇だし、手伝ってあげるよ」
「珍しく気が利くな……って、お前!!そのピースはそこではない!!ここだ、よく見ろ!!」
「わー、ごめんごめん!謝るからフォークはしまって!」
ギャーギャー騒ぐ2人を横目に、藍衣はため息をついた。