「やあ、川瀬さん。わざわざ呼び出してすいませんね」
「いえ、大丈夫です。
ところで、ご用件は…?」

犯人が見つかったのか、そう考えると妙な不安が麻里乃を襲う。
だが、悠季から出た言葉は意外なものだった。

「ちょっとね、川瀬さんに、聞きたいことがあるんだ」
「聞きたい事?」

悠季は優しい笑みを見せ、頷く。
「何ですか?」と麻里乃が聞くと、悠季は少しためらいがちに言った。

「同級生のミカさん…ってさ、川瀬さんの友達?」
「え…あ、はい!高校で出会ったんですけど、すごく気が合って、いつも一緒にいます」

今回の悩み事も、ミカは親身になって話を聞いてくれた。
麻里乃にとって大好きな友達だ。

笑顔ではっきりと言った麻里乃を見て、悠季や藍衣、健一に南までもが複雑そうに顔を歪ませた。

「率直に言います。
俺たちはこの二日間、いろいろと調べた結果、君を悩ませている犯人を突き止めました」
「ほ、本当ですか!?」

すごい、麻里乃は素直にそう思った。
自分と同い年ぐらいの彼らが、自分の悩みの原因を探しだしてくれたのだ。

何気なく目にした店の看板。

“あなたの悩み解決します!”

あの言葉を信じてよかった。
心からそう思える。