* * *
麻里乃は、先程らぶはぴから店に来るようにと連絡を受け、今店の前にいる。
急にどうしたんだろう…。
もしかして、もう犯人がわかったとか?
ドキドキしてきたが、何とか平常心を保つ。
店の前に出ている看板は“closed”と出ている。
今日はまだ開店していないようだ。
入っていいものかと一瞬躊躇したが、麻里乃はゆっくりと店内へ足を踏み入れた。
カランカラン…
ドアベルが、可愛らしい音をたてる。
「こ、こんにちは…」
「あ、いらっしゃい。待っとったで」
カウンターでグラスを磨いていた藍衣が笑顔で出迎えてくれ、麻里乃はなんとなくホッとした。
「わざわざ来てもろて悪いな。じゃあ、相談室来て」
「はい」
初めてこの店に来た時と同じように、藍衣は麻里乃を相談室へと連れていった。
「麻里乃ちゃーん、久しぶ……
ぐはぁ!」
「うわぁっ」
麻里乃に抱きつこうとした健一だったが、そのスキンシップは見事藍衣の鉄拳によって阻止された。
頬を腫らせてしくしく泣く健一を横目に椅子に座ると、目の前にある綺麗な緑色の瞳と目が合った。
久しぶりに会ったこの店のオーナーは、やはりかっこよく、心臓が跳ねあがった。