「誰や、あの子…」

少し派手な雰囲気の少女は、キョロキョロと辺りを見回し、誰もいないことを確認してから小さな封筒を郵便受けに入れた。

一応のため、藍衣は少女を写真におさめた。

少女は、封筒を入れて再び周囲を見回すと、足早にマンションをあとにした。

「……藍衣、取ってこい」
「何を?」
「さっき、あの女が入れた封筒」
「えぇっ!?」

「あの封筒…依頼人の郵便受けに入れていた。
中身が気になる」
「でも…そんな勝手に…」
「いいから取ってこい」

悠季に促され、藍衣はしぶしぶ封筒を取りに行った。

他人の郵便物をあさるなど、まるで泥棒になった気がして、気分が悪い。

悠季の言ったとおり、封筒は“川瀬”という札がある郵便受けに入っていた。

それを素早く手にし、藍衣は小走りで悠季のもとに戻った。

「ほら、取ってきたで」
「開けて」
「ええ!?でも…」
「いいから」

郵便受けをあさるだけでなく、中身を無断で見るなんて、藍衣はだんじてやりたくない。

だが、悠季の命令だと思い、しぶしぶ封筒を開けた。

「っ!!」
「これは……」