* * *
「悠季、あんたの直感っていうんは一体何なん?」
張り込み中、気になった藍衣は隣でうめえ棒をかじる悠季に問い掛けた。
「あー、そのことね。
俺、依頼人の話を聞いた時から犯人は2人いるかもって思ってたんだよね」
「えっ!?そーやったん!?
ってか、犯人2人おるん!?」
さらっと言う悠季に驚く藍衣。
そういえば、悠季の直感ってはずれたことないなー。
普段はこんな、ただのうめえ棒好きなだけのバカ男やのに、こういう事になるとすごいんよね。
横目で悠季を見ると、彼の緑色の瞳と目が合ってしまった。
「ちょっ、こっち見んといて!」
「見てねーよ、別に」
恥ずかしさから顔を真っ赤にして怒る藍衣。
「みみ、見とった!上司特有のいやらしい目で!」
「何だそれ」
「も…もうちょっと離れて!うめえ棒のカスが飛ぶねん!」
「はいはい」
悠季は呆れたように笑い、藍衣の頭をポンポンと撫でると、彼女から距離をとった。
「あ、悠季、こっち来て!!」
「何だよ…。離れろって言ったり来いって言ったり…」
ため息をつく悠季の目に、麻里乃のマンションの郵便受けの前にいる少女の姿が映った。