「川瀬麻里乃ちゃんは、学校ではあまり目立たない消極的な存在で、いわゆる優等生。
だけど、誰にでも優しい性格から皆に好かれてて、麻里乃ちゃんを嫌ってる人はほとんどいない。
友達もたくさんいるってさ」

簡単に説明する健一。
それを黙って聞く悠季は、何か考えているようだ。

少し場違いかと思ったが、藍衣はずっと気になっていたことがあり、彼に問い掛けた。

「なぁ、悠季。ストーカー犯を捜すのに、何で依頼人の交流関係なんか調べたん？

ストーカーいうたら、たいてい相手に強い好意を抱いたけん、やるもんやろ。それやったら、犯人は男で決まりやんか。

依頼人の友達のこととか、学校での様子とか調べても、あんま意味ないんとちゃう？」

「藍衣、まだストーカーだと決まったわけじゃない。

確かに見張られるとかつけられるとか、それだけを聞くと、依頼人はストーカー被害にあっていると考えられる。
だが、１つ引っ掛かるんだ」

「何が？」と藍衣が聞き返すよりも先に、悠季は言った。

「郵便受けに入ってたっていう紙だ」