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「こちら藍衣。
今、依頼人の自宅の前におる。
さっき、コンビニに行って帰ってきたところや」
藍衣は携帯で、悠季に先程までの麻里乃の行動を伝えた。
〈今んとこ、怪しい奴とかは?〉
「まだ見てへん」
〈オッケー。もし、彼女の周囲で不審な動きをした奴がいたら、とりあえず何枚か写真を撮っておいてくれ〉
「了解!」
悠季が、うめえ棒をモサモサと食べながら通話していたことに藍衣はもちろん気付いていたが、あえてつっこまずに電話を切った。
* * *
「あーあ、ミナミんじゃなくて藍衣と一緒に調査したかったー」
そう愚痴をこぼすのは健一。
「俺だってお前と調査などごめんだが、らぶはぴのオーナーである悠季の命令だから仕方なくやっているんだ。文句は言うな。
それから俺は“ミナミん”ではなく、“南”だ。次言ったら、フォークで刺すからな」
「あえてフォークで!?殺傷力あるかないか微妙なフォーク!?
ってか、何で俺だけニックネームで呼ばせてくんないの!?藍衣や悠季はいいのに!?」
「藍衣達はいい。だが、お前はダメだ。南様と呼べ」
「何、その一部の格差社会!?」
そんな風に、なんだかんだで仲良く調査を始めた健一と南なのであった。