──絶句。

あまりにも……綺麗すぎて。


俺が想像していたよりもずっと、彼女は綺麗だった。


年下とは思えないほど大人っぽい顔立ち。
だけど、照れ臭そうにはにかむ姿は、まだあどけなさが残る。



やばい……。
目が離せない。



「先輩!心理テストどうでした!?」



後輩が俺の右腕を掴み、感想を迫る。


「あ……うん……」


「何すか、その曖昧な返事!」


「……もしかして先輩?」


俺らのやりとりを見ていた占い師の彼女が問う。


「えっ、あ、うん!そう!」


後輩が一瞬顔を真っ赤にして動揺しながらも、嬉しそうに答えた。


それを見て、俺は我に返った。



そうだ……。この子は、俺の可愛い後輩が想いを寄せる相手。


俺は、先輩としてこいつを応援してやらなくちゃいけない。


一目惚れなんか……しちゃダメなんだ。



俺は何事もなかったかのように「ありがと」と頭を下げてから、教室を出た。



去りぎわに見た、占い師の彼女の笑顔は忘れられそうにない──。




fin.