机と椅子を移動し終えて、俺は座りながらフゥと息をついた。
前にいる彼女が、おずおずと口を開く。
「い、位置的にさほど変わりませんね……。あんまり意味なかったですよね……すみません……」
「何で謝んの?俺嬉しかったよ。君はわかってくれてたんだって」
俺が笑って言うと、彼女も少し照れ臭そうに。でも嬉しそうにはにかんだ。
あんなに小さなことに気付くなんて、よっぽどちゃんと周りのことを見ていないとできないことだ。
「お前、偉いよな。ちゃんと周りのこと見てて。俺なんてHR委員なのに全然……」
そこまで言うと、「違います」と彼女が俺の言葉を遮った。
「あたしが見てたのは、あなただけです……。あなたのことだから気付けたの……」
純粋かつ大胆すぎる告白ともとれる言葉に、俺は真っ赤になってしまった。
けど……嫌な気はしなかった。
「……さ、サンキュー」
fin.