着々とくじは引かれていき、残すは二枚となった。


俺は、例の彼女に箱を差し出す。


「はい、一枚引いて。つっても、もう二枚しか残ってないけど」


俺が苦笑すると、彼女はふるふると首を横に振った。


「あなたが……先に……」


「え?」


聞き取れないほど小さい声で、彼女が言った。



「あ、あなたが……先に引いてください……。まだ引いてないでしょ……?くじ……」



俯いたまま、しどろもどろで言葉を繋いだ彼女。


「いいよ、別に。早く引けって」


ずいっと箱を差し出すけど、なおも彼女はそれを拒んだ。



「くじを配ってるから……あなたはいつも一番最後……。
そんなの不公平……。あたしはいいから……先に引いて……」