だけど、
「どうしても決まらないなら、じゃんけんかくじかで、強制的に決めるからなー」
先生の脅しに、クラスの全員が揃って「えー!!」と不満を漏らす。
それを聞いた途端、俺はダメだと思った。
“じゃんけん”……。
それは俺が最も苦手とする、勝負事だった。
何でじゃんけんなんかで……確実に俺がなるに決まってんじゃねえか!
俺は今まで、じゃんけんには負け続けてきた記憶しかないんだよ!
「もう、誰かやってよー」
「だったらお前がやれよ」
「絶対嫌ー」
そんな会話が耳に届き、ハッと我に返る。
……誰かやらなきゃ、じゃんけん。
じゃんけんだとしたら、俺が負けるのはほぼ決定事項。
どうせ結末が見えてるなら……
「はい、俺やります」
男らしく潔くいってやらぁ。