「いらねえの?いつもなら喜んで食べるのに」


「ごめん、いらない」


「ホントにいいのか? ほら、カステラもあるぜ」


か、カステラ…!


食べたい、食べたい、食べたい!

……けど、我慢しなきゃ。


「ホントにいらない。あたし今ダイエットしてるの。だからしばらく、スイーツとか甘いものは控えるね」


今にもこぼれそうなよだれをなんとか飲み込み、目をかたく閉じて言った。


すると、彼は何故かキョトンとしていた。


「何でダイエットなんかしてんの?」


「……はい?」


彼の間抜けな声に、今度はあたしがキョトンとなる。


「だ、だって…太ったって言ったじゃん!」


「え?俺、太ったなんて言ってないけど……」