えーと…せっかく話せたんだ…。


何か…何か言わないと…。



図書室には誰もいない。ふたりきりだという状況が、さらに俺の心拍数を上げる。


どうしよ……。

さっきは思いっきり笑っちゃったし……。


とりあえず俺は、自分が嫌われていないかを確かめたかった。



──今度、俺におすすめの本教えてくれませんか!?



彼女は驚いたように目を丸くしたあと、静かに頷いてくれた。


「その代わり…ひとつだけお願いがあります」


お願い?



「火曜と木曜だけじゃなくて……毎日図書室に来てください。

……待ってますから」



赤い顔の彼女が、はにかんだ。




fin.