行かないで、先輩……。
一生会えないわけじゃないのに、先輩との唯一の繋がりがなくなってしまうと考えると、寂しくて仕方がなかった。
「……どうかした?」
特に驚きもせず、先輩は私の頭を優しく撫でた。
こういうところに、“大人の余裕”みたいなものを感じる。
「先輩……バイトやめないでくださいよ……」
「……それは無理なお願いだね。
俺はフリーターなんてごめんだよ」
わかってる。わかってるけど。
先輩との繋がりが欲しい。
たったひとつでいいから。
何か……年の離れた私たちを繋いでくれる何かが……欲しい。
「んー、でも俺も君と会えなくなっちゃうのはやだなー」
「え…?」
先輩はにっこりと笑うと、私の小指に自分の小指を絡ませた。