「どうかした?」


「え?」


突然、心配そうに顔を覗き込まれ、あたしは顔を真っ赤にしながら彼から離れた。


「さっきから黙ったままなんだけど。お前、中学の時はもっと騒がしい奴だったじゃん」


「……大丈夫だよ。
っていうか、もうあたし高校生だし、あの頃と違って無駄に大騒ぎしたりしないよ」


「ふーん。ま、何でもいいけど」


“何でもいい”……どっちだろうと、彼にとってあたしはどうでもいい存在……。




「なぁ、お前携帯持ってる?」


突然声をかけられ、我に返る。


「メアド教えて。せっかく再会できたんだし、たまにメールしようぜ」


アドレス……連絡が取り合える。

嬉しい反面、悲しくなった。


これでまた……君のことが頭から離れなくなってしまう……。


「じゃあ、先に俺が送るよ」


赤外線で送られた彼のアドレスが、あたしの携帯の電話帳に登録される。


次にあたしが、自分のアドレスを彼の携帯に送ろうとした時、


〜♪♪♪


「!」


彼の携帯が鳴った。
ピンクのイルミネーションライトに、サブディスプレイには……彼女の名前。