会いたい。
という気持ちは確かにある。


だけど……


母が駅で彼を見かけた、そんな話を聞いて、今でもドキドキしてしまうあたしだ。


会ってしまえば、せっかく綺麗な思い出にしようとしてるのに、また……あの時の気持ちがよみがえってしまう。


そんなの……ダメだ。


もう一度彼を好きになる、なんてことになったら、もうすぐ高2になるというのに、あたしはいっこうに彼氏ができない尽くになってしまうに違いない。


自分でいうのもあれだけど、あたしは一途なんだ。未練がましいともいえるけど。


とにかく、彼のことばかり考えて、あとのことは何も考えられなくなるのが嫌。ってか、ダメだ!


だから……


行かない、会わない、関わらない!!




「いらっしゃいませー!」


「あれ、久しぶり!」


「っ!?」


バイト中、お辞儀して元気よく営業スマイルを作ると、お客様からやたら親しく声をかけられた。


顔を上げて見てみれば、会いたいようで会いたくない人がそこにいた。


何で……お前がこんなスーパーにいるんだ──!!?