ねえ、私ね、夢が叶ったよ。


月になれた。


今、空高くから君の泣き顔を見てるんだ。



今日で5日目だね……。


私を思って泣いてくれてるのは嬉しいけど、私は君の笑顔が好きなんだけどな。


わがままな私の、最期のお願い。



『俺があの時…飛び出したりしなかったら…』



まだ、そんなこと気にしてるんだね。


私、君をかばったの後悔してないよ。君を恨んでもないよ。


大好きな人を守れたんだもん。
むしろ嬉しい。


君のせいなんて思ってないからね。


私、最期まで笑ってたでしょ?
嬉しかったんだ、君が無事で。


それと、今まで君と過ごせて幸せだったから。


だから…もう泣かないで。


君に笑ってほしくて、毎晩一生懸命輝いてるのに、
君が笑ってくれなきゃ意味がないよ。



私は大丈夫だから……。



死んでなんかいない。
君が私を忘れない限り、私は永遠に君の中で生き続ける。


これから、ずっと……

優しい月となって、毎晩君を照らすから──…。




fin.