「わかんなくてもいいじゃん」


「えっ…!?」


俺は気付いたらこんなことをつぶやいていた。
彼女はもちろんのこと、俺まで驚く。


いや……なんか頭で考えるより先に、口が勝手に動いてたんだ。


俺はヴァイオリンを弾きながら、続けた。


もう、こうなったらなんとなく思った事言いまくってやる!


「皆、自分がすべき事どころか、自分がしたい事さえわからない。怖いのは、君だけじゃないよ」


彼女の悩みに対する俺のアドバイスが的中していることを、とりあえず願う。


ヴァイオリンを弾いたまま、俺は恐る恐る、彼女を見た。


瞬間、自分でもわかるほど顔が赤くなった。

そして、演奏を途中で止め、大声で叫んだ。



「あぁ──!!」



君が……笑っていた。



もともと綺麗なその顔は、笑うとさらに素晴らしく輝いている。