翌日。
1分、いや1秒も遅刻してない。


実はそれよりも前に、公園には来ていた。


早く……君に聴いてほしくて。


1時30分になると、彼女はいつも通り窓の半分ほどまでカーテンを開け、窓も少し開けた。


よし、今日は俺のお気に入りの曲を……。



弾きながら、思うことはただ一つ。



君が…笑ってくれますように。



彼女はいつものように目を閉じて聴き入ることはなく、俺をまっすぐと見据えていた。



長い間外に出ていないのか、透き通るほど真っ白い肌。
身なりも気にしていないのか、ボサボサに伸びた髪。
綺麗なのに、もったいない。


名前も知らない彼女の悩みなんて、俺がわかるわけもない。


それでも、俺の演奏を真剣に聴く彼女を見てると、なんだか彼女があんなに暗い顔をしている理由がわかった気がした。