俺が演奏を終えても、彼女は目を開けなかった。


どうやら眠っているらしい。
寝顔まで綺麗だ。


あのあと、彼女が涙を流すことはなかった。


だけど、あの一筋の涙が忘れられない。


俺は誰かを笑顔にする演奏を目指していたのに、それどころか泣かせてしまった。


今はとにかく、彼女を笑顔にしてあげたいと心から思った。


決めた……。


これから何日かここでヴァイオリンを弾こう。


そして、俺の演奏で彼女を笑顔にさせてやる!




それから毎日毎日、午後1時30分に公園に向かい、ヴァイオリンを弾いた。


だけど、彼女が笑ってくれることはなかった……。