ヴァイオリンは作曲家だった父さんが教えてくれた。
俺はなかなか上手くならなくて、コンクールも良い賞をとれなくて、本当に父さんの息子なのかとよく悩んだりした。
それでも、努力はいずれ報われると信じて疑わなかった。
作曲家でもあり、ヴァイオリニストでもあった俺の父さん。
父さんが時々弾いてくれる、ヴァイオリンが俺は大好きだった。
父さんみたいなヴァイオリニストになりたくて。
いつか父さんを超えたくて。
聴いた人が笑顔になるような演奏を目指し、俺は練習を怠らなかった。
最近の俺の練習場所は、とある家のすぐ近くにある公園。
誰も聴いてくれる人はいないけど、俺のヴァイオリンはまだ人に聴かせられるようなものじゃない。
逆に集中して練習できる。
そう思って、練習を始めた。