今、目の前にこんなに頑張っている人がいるのに、あたしはこんなところで何をやっているのだろう。


太陽を避けたこの部屋で、1人の少年のヴァイオリンを聴いて、リサイタルが終わったら布団に潜り込んで。



一体、何がしたいんだろう……。



「わかんなくてもいいじゃん」



「えっ…!?」


突然、少年がヴァイオリンを弾きながら口を開いた。


「皆、自分がすべき事どころか、自分がしたい事さえわからない。怖いのは、君だけじゃないよ」


不思議と、少年の言葉は胸に響いて心に染み渡り、同時に立ち止まったままのあたしの背中を押した。


わかんなくても…とりあえず、何かやってみる…。



決めた……あたし、明日学校に行く!



行ったところで、すべき事もしたい事もわかんないけど、行動することが大事。


半年のブランクは大きいかもしれない……。
でも、それでもいいじゃないか。


少年の音色と言葉は、あたしに一歩進む勇気を与えてくれた。