心に染み渡るその音。
あたしの醜い部分が、全て洗い流されていくような…そんな音色。
音楽に無知なあたしは、この曲がなんという曲なのかはわからない。
だけど、これだけはわかる。
こんなに素直に、心から綺麗だと思ったのは、今日が初めて。
もう少し…聴きたい。
カーテンを窓の半分ほどまで開け、窓も少し開けてみた。
よく聞こえるようになったけど、太陽がまぶしい。
その音色に身を委ねるようにして、あたしは目を閉じた。
こんなに綺麗な音を出せるなんて、きっとこの人は心も綺麗なんだろうな。
あたしとは大違い…。
ヴァイオリンの音色に負けず劣らず、綺麗で整った顔の男の子。
太陽の下、優しい笑みを浮かべながらヴァイオリンを弾く姿は……とても輝いていた──…。