店の照明があたり、彼女の髪が輝いて見える。


少し茶色がかったその髪は、ドアが開き、別の客と共に入ってきた外からの風により、ふわりとなびいた。



「……ありがとうございます」



「え…?」



鏡越しに見えた彼女は、優しい笑顔を向けていた。


「私、実は昨日失恋しちゃったんです。だから、彼のためにずっと伸ばしてた髪をバッサリ切って、心機一転しようかなって……」


俺はなんて無神経なことを言ってしまったんだろう。


彼女は、つらい思いから立ち直ろうとしているのに……。


俺の身勝手な言葉は、きっと彼女を傷つけた。