教室に戻りたくない。

学校にいるのが、しんどい。

雑巾が飛んでいた、自習の時間よりもっと、もっと。


あんなやつらの世界で息をひそめて、あんなやつらに、配役を与えられたくなかった。

でも、あんなやつらに、立ち向かう勇気がない自分が、いやでいやでしかたなかった。


わたしは、傍観者だった。

なんかやだねぇ、なんて、気楽にながめていた、傍観者。

見てみぬふりをして、こんなところまで来てしまったわたしに、だれかを否定する資格なんて、ないんだ。



田岡が学校に来ていないことは、午前中のうちに知った。

一時間目の終わりに、スミトモくんが、わたしたちのクラスに来たのだ。

「休みだし、携帯に連絡してもつながらない」って、不服そうに言っていた。


先生たちも、菜落ミノリの事故のことに軽くふれただけで、金曜日のことに関しては、なにも言おうとしてこない。

その件は、もう解決したと思っているんだろうか。

そもそも、先生たちは、いじめのことを知っているのだろうか。

田岡は、話したのだろうか。もしくは、同じクラスのだれかが?