荷物を一つ増やして、家を出る。

ピッカピカのお日様の下、水玉模様のみどりのカサは、すごく浮いているみたい。


お母さんは、昔っから過保護だ。

口うるさいし、わたしより先になんでも調べて動いてしまうから、わたしが動かないニンゲンになる。

わたしに、もし子どもができたら、絶対こんな育てかたはしたくない。

その前に心配なことは、わたしなんかに、母性本能が、生まれるのかってこと。

ボセイホンノウ。それ以前に、結婚。おつきあい。カレシ。びっくりするほど、遠い。


ふああ、と一つ、あくびをする。花火をした昨晩は、帰ってから、ラジオをつけようともせずに寝てしまった。

そんなことは珍しかった。疲れていたんだと思う。けれど、心地よい疲れだった。

だって、どんなに体が疲れていても、心がモヤモヤしていたら、すぅっと眠りに入れないはずだから。


どんな夢を、みていたんだろう。

空に浮かぶ、雨雲にはなりそうにない、かわいらしいまあるい形の雲をみて、そんなことを思う。