稲光。かみなり。黄金の落下物。
落ちやすいとわかっていて、頭のてっぺんに、鉄の棒をかかげなければいけないとき。
バケツをひっくり返したようなどしゃぶりのなか、着るものもなく走らなければいけないとき。
足の着かない深海で、重い鎧をまとわなければいけないとき。
そういうときが、この世界には、あるってこと。
ねえ、オトナはさ。
避ける方法を教えてくれても、あえてぶつからなければいけないことが あるなんて、教えてはくれなかったでしょう?
だから、わたしたちは、高い木の下から遠ざかり、傘をさし、浮き輪をつかう。
そうやって守られて、守られて、いざ裸になったときに、立ち尽くすんだ。
ねえ、わたし、どうすればいい?