舞い落ちてくる大粒の雪に多彩な光をあてて、焦がして、季節に反抗する。
冬が、じゅわっと溶けるよ。
思ったよりも、わたしもはしゃいでいて、のどがカラカラになったころ、手持ちの棒花火はすべて、なくなった。
スミトモくんが家から持ってきたぶんの、去年の残り花火がしっけていて、火がつきにくかった時間もふくめて、それでも、終了するのは早かった。
アキが宣言したとおり、三十分以内。
田岡が、二本持ちならぬ、四本持ちばっかりするから。
あか、きいろ、みどり、あか。噴射する光のいろ。笑い声。久しぶりに、心のど真ん中で、楽しいと思えた。
楽しかった。
「海だったら、吹き上げとか、打ち上げとか、できるのになぁ」
バケツに入らずに散らかっている花火を片づけながら、残念さを混ぜた笑顔で、田岡が言った。
この一帯で打ち上げなんかしたら、近隣住民から苦情の嵐だから、できるのはせいぜい、手持ち花火くらいなのだ。
そうだよね、とうなずいた。うん、海、行きたいなぁ。