二本持ちはもったいない、なんて思うのだけれど、みんな二本同時につけるから、負けじとわたしも、同時点火することにする。
つけてみれば、片一方は、最初のと一緒。直線キュウリ花火。もう片方は、パチパチはじける花火。
この種類は、ちょっと苦手だ。元気のよい火花が手にあたりそうで、こわいから。できるだけ、ハシを持つ。
わたしの手元で元気よくはじける花火より、いっそう元気な声が、夜の空気を彩る。
「ばんざーいっ!!」
「赤上げてーっ?赤下げないでっ、白下げない!ハーイ、スミトモざんねーんっ!!」
「はぁ!?そんなら田岡、お前やってみろよ!!」
笑って、笑って。息づいている、みんなの声を聞きながら、思う。
もしここが雪のうえだったら、もっときれいだったかもしれない。
色とりどりの光は、きっと白に映える。濃い絵の具を落としても、画用紙が白じゃなきゃ目立たないのと、同じ原理。
もうすこし、もっと、今よりさかのぼった日づけ。雪国だったら、雪が降ってくるかもしれないな。