アキの、キスの相手。彼氏のスミトモくんも、おなじバスケ部。

ポジション、ポイントガード。アキと同じく、ドリブルがうまい。

男子にしては小さめの身長だけれど、顔はわりと整っている。

こういう男子を、ジャニーズ系って呼ぶのかもしれない。あの、頭のてっぺんを床につけて、クルクルーっと回る、おそろしいダンスができそうだ。


それにしても、自分の知っている人たちのそういう話は、正直あんまり聞きたくない。

想像したら、むずかゆくなって、席にじっとしていられない気がする。


「キスされるってなったらさ。雰囲気でわかるじゃん?」


わたしが明らかに聞こうとしていないのに、アキはしぶとく、その話題を続けた。


「・・・知らないけど」

「そしたら、こう・・・ね!アワアワしちゃうんだよねー!アタマを、右にかたむけるか左にかたむけるかっ!」

「・・・はぁ」

「しかもさぁ、スミ、わたしより若干背ぇ低いじゃん?ちょっとだけしゃがまなきゃって思うんだけど、そのタイミングもさぁ・・・てか、聞いて!スミがね、卒業までに絶対抜かしてやる!とか言うの!もーそういうの、かわいくってさぁ」