「ねえ、八子。さっきからなにか怒ってるの?」

「・・・怒ってないよ」

「怒ってるでしょう」

「怒ってないってば!!」


叫んで、二階の自分の部屋まで駆け上がる。

ベッドにダイブ 。バッシャーン!!なんて、小気味よい音はしない。ボヨン、ボヨン、と二回はずんだ。

自分の部屋に、引きこもることにする。簡易な、籠城。

このままお母さんと話していたら、また期末テストの結果話にまで、たどり着いてしまうだろうから。

返ってこなくても、散々なのはわかっている。だから、もう、聞かないで。言わないで。わたしが、駄目だったから。


コースからはじき出されてしまったほうが、いっそのこと楽かもしれない、なんて。

白いマットの海の上、そんな思いがプカプカと浮かぶ。

はじき出されて、うつ伏せになって、そのまま干からびてしまえばいい。お日様になら、負けたっていい。


ベッドのマットレスに、顔の左半分をうずめながら、右半分で息をする。

二分の一になったはずなのに、いつもの二倍くらい息が荒かったから、本当に怒っているみたいだと思った。