わたしの、くすぶった日常のなかに舞い込んだ、ビビット。 赤い、原色のポスターカラー。 上から水滴がポタポタと降ってきて、水彩画みたいに、あわくあわくにじんでしまう。 べつに、田岡は悪くない。 わかっているのに、イライラした。なぜか、くやしかった。 わたしは消しゴムを取り出すと、歴史の教科書にギュウギュウ押しつけて、手書きヒゲを消していった。