アキのなかで、変換中。
「ハチは田岡くんがだーいすき」という勘違いから、「死ぬほどだーいすき」という、最上級の勘違いに。
ほら、やっぱりアキは、わたしを殺す気だ。
どんな弁解をしたらいいのだろう、と固まっているわたしの背中をバシバシたたいて、アキは言う。
「やーっぱりぃ! ハチ!!もー、素直になりなよねぇー!!」
バシバシ攻撃。いたいいたい。このままじゃ、背中にもみじマーク。初夏なのに、真っ赤なもみじ。
わたしがたたかれている間に、グラウンドから、ゾロゾロと野球部軍団が去っていく。
もうすぐ予鈴が鳴る。やっぱり黒頭のなかには、茶色頭はひとつもない。
「ね、ちょっとさぁ、企画したげるじゃん!あたしに任せなって──」
「なんで、いないの?田岡」
思わず、アキの言葉を遮ってしまった。いつもならこんな、冷静さをかくようなことはしないのに。
アキは不思議そうな顔をして黙ったあと、口をとがらせて言った。
「なんでって・・・中二の最初にやめたじゃん」