両手でほおづえをつき、そのままズリリと、目まで覆う。
指と指のすきま。そっと、グラウンドを、もう一度見た。
田岡は、男子数人に囲まれて、笑っていた。
髪をワシャワシャされて、やり返して、まるでじゃれ合いをしている大型犬みたい。短いけれど硬くない、空気をふくんだ毛並み。
ハッキリ聞こえなかったけれど、怒ったような声がひびいて、田岡たちは、いそいで先生のいる方へと走っていく。
田岡の髪は、日に透けると、茶色く見えた。
走り方が、とてもきれいだった。
そんなことに、はじめて気づいた。
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