中川さん、とか。
ありえるな。野球部のマネージャーだし。田岡、野球部だったはずだし。
部員と、 それを支えるマネージャー、みたいな。だとしたら、マンガみたいだなぁ。
それとも、竹森さんだろうか。美人だし。目はパッチリしていて、鼻筋が通っている。わたしの鼻とは、大ちがい。
自分の鼻先を、人差し指でひとなでしてみる。
わたしのまるい鼻は、お母さん似だ。
お母さんは目もまるくて、輪郭もまるいから似合っているけれど、わたしは輪郭と目がお父さんゆずりだから、鼻だけ変に目立つ。・・・しにたい。
つぎに目に入ったのは、まあるく切りそろえられたボブ。
小牧さんも、ありえるな。明るいから、田岡と合いそうだし。
それか、平田さん。色白で女の子らしい。そうでもないとしたら、ええと。
まさか、嶋田さん。
その名前が浮かんだとき、わたしの目線は、ある一点に移動していた。
ピッカピカに塗り固められた嶋田さんとは、間反対の存在に、ポーンと、ワープ。
──死ねよ。
机に置かれた教科書には、クッキリとした黒で、その三文字が落書きされていた。