「お次はですね、中学二年生男子!!えー・・・ジュウエンムイチさんからの、お悩みです──」


昨晩は、ろくに眠れなかった。

真夜中手前の、まさか、の出来事。ベッドの上で、体も心臓もはねてしまって。

一度はね上がってしまったドキドキは、トランポリンの上に置かれたように、ずっと小刻みに、はずみ続けていて。

ラジオを聴いたあの瞬間に比べれば、ドキドキはずいぶんおさまっていたけれど、それでもわたしの中身は、すっかりジュウエンムイチ、一色だ。


ジュウエンムイチ。


ずっと推理をめぐらせていたけれど、考えれば考えるほど、わたしの思いは確信に近づいていった。


やっぱり、あれは、田岡だ。

田岡が投稿したものだ。そうとしか、思えなかった。


だって、ジュウエンムイチなんて、ヘンテコリンなペンネーム、考える人、ほかにいる?

十円無一文、を由来にしたとしたら、よっぽど貧乏になりたい人だ。変人奇人でないかぎり、お金はあるほうがいい。

白いノートをにらみつけるように見つめながら、ラジオの放送を、一字一句思い返す。