見たいドラマがない日だったから、帰ってすぐ、お風呂に入った。
お父さんとお母さんは、べつに見たいわけでもないくせに、ダラダラとテレビの前にいる。
いつもだ。クッションを枕にして、同じ姿勢で寝転んで、同じ顔をして、テレビを見つめている。
わたしはそういうの、無理。
いらない時間をぐうたらつぶすなら、早く寝てしまえばいいのに。
アゴの上、くちびるの下まで、お湯につかる。息ができるかできないかのところで、わたしは目をつむる。
熱めのお湯が好き。
じゅわーっと、からだの芯から溶けていくかんじが、一日ためこんだモヤモヤを、なくしてくれるような気がするから。
お父さんは、熱くもぬるくもないお湯。お母さんは、ぬるめのお湯が好きだから、お風呂に入る順番は、自然とわたしが最初になっている。
一番風呂。それも好き。
ドライヤーで髪をかわかして、お母さんに「お風呂上がりは水分とんなさいよ」って押しつけられたぬるい水を飲んでから、二階の、自分の部屋にあがる。
充電コードがささりっぱなしの、携帯電話が点滅していて、メール着信をしらせていた。