想像したら、無性に帰りたくなった。
帰りたい。布団にもぐって、なにもかも全部シャットダウンして、ラジオを聞きたい。
お兄サンの低い声。低く、低く、低く。地底まで連れてって。わたしを埋めて。光も当たらない、奥底。
そうしたら、もうだれも、わたしに触れられない。
「一緒だね!このクラスで良かった!!」
ポンって。
満面の笑みで、アキに肩をたたかれたのは、新学期。クラスのメンバーを見て、すこしガッカリしていたときだった。
両手をつながれ、アキに見つめられたわたしは、急いで、ものすごくうれしいフリをしたのだ。
うん、良かったねぇって、どの口が言ったんだ。取り外してしまいたい。
パーツを取り外して、付け替えて、そしたら、かわいくていい子の顔の出来上がり。もはやわたしじゃないけれど、それでもいい。
それがいい。
顔を上げたら、アキがこっちを見ていた。
その顔に浮かんでいるのは、新学期のときとはちがう、困った種類の笑いだった。
どうしようねぇ、とでも言いたげなかんじだったから、わたしも苦笑いを返す。
うん、どうしようねぇ。なんか、やだねぇ。